試練の年、2020年
今日は僕の過去ではなく、現在に焦点を当てて行こうと思う。今僕はロサンゼルスでこれを書いていて、外ではサイレンが鳴っている。なぜかというと、黒人のGeorge Floydが警察に窒息死させられたのを発端に全米でデモが起こっているからだ。
今日、2020年について書こうと思ったのも、この大事件が大きな要因だ。2020年は折り返し時点に来ているが、この年は色々なことが起きすぎた。ほぼ全てが悪いニュースで2020年は試練の年と言っても全く過言ではない。
コービー・ブライアントの死去

まず、1月にコービー・ブライアントがヘリコプター墜落事故で亡くなった。これは全米を衝撃に陥れたニュースである。僕はルームメイトのブランドンと食料品の買い出しに出ている最中で、このニュースをブランドンが車の中読み上げた。僕は正直信じられなくて言葉が出なかった。
街中は悲しみに溢れ、RIP KOBEという言葉が街の看板やバスの電光表示など至る所で見られた。彼の娘も亡くなってしまった。まだ10代前半でバスケファンならばコービーの試合にはよく見に来ていた女の子、ということは分かるだろう。このニュースは人々にこう考えさせた。
「スーパースターでもあっけなく死んでしまうんだ。」なんだかスーパースターは不死身に思えてしまう。だが、このニュースで僕たちは自分の人生について深く考えさせられることになった。
「自分だっていつ死んでしまうか分からない」
コロナ・ウイルスの脅威

そして、もちろんコロナ・ウイルスだ。歴史上で最も世界を混乱させたウイルスだろう。人々は初めてウイルスの脅威を知った。そして初めて人間がいかに準備不足であるかを知った。正解の手段を導き出した国は無いと考えていい。経済的は世界はこれで世界恐慌並みの時代に引き戻された。これを書いている今でも、ロサンゼルスの失業率は半端ないことになっている。ギグ・エコノミーと呼ばれるほどフリーランスとしてエンタメ産業で活動をしている人間が多いロサンゼルスでは特に大打撃である。
人種差別問題の再燃、George Floyd事件

そしてGeorge Floyd事件である。これは警官が黒人の首根っこを踏んづけて窒息死させてしまった事件である。今、全米で過去に類を見ない規模のデモが広がっている。Black Lives Matterという運動が数年前に起こったが、これがまた再燃された。各州の主要都市ではデモが行われ、街が火の海になっている。
僕は日本人がこれをビッグニュースとして取り上げていないことに心底驚いている。「僕たちは関係ない」と思っている人に一言言いたい。
だから日本人は遅れているのだ。
人種問題はアメリカの問題ではない。「世界」の問題である。日本も世界の一員ならば、この事件について真剣に考えるべきである。世界で戦うために日本を背負っている、という覚悟があるならば、これは知っておくべき事件である。
Elon Muskの民間会社、ロケットを打ち上げる

だが、悪いニュースばかりではない。今日、Elon Muskが立ち上げた会社、SpaceXがロケットを打ち上げた。これはロケット打ち上げを場所、部品共に海外に頼ってきたアメリカにとって悲願のニュースだ。なにがそんなに凄いのかというと、まずこれは民間の企業であること。そしてロケットの部品はほぼ全てアメリカ産であることである。Elon Muskはロケット製造にとてつもない無駄なコストと時間がかかっていることに気づき、従来のロケットの100分の1ほどのコストでロケットを打ち上げることに成功した。極めつけは、そのロケットが再生可能であること。従来のロケットは一度打ち上げたら最終的に全て分解されて海の藻屑になる。しかしSpaceXは打ち上げたままのロケットを地上に戻すことに成功し、世界に衝撃を与えた。
Elon Muskはちなみに電気自動車の会社、Tesla (テスラ)を立ち上げたことでも知られている。日本ではまだ乗っている人は少ないが、アメリカでは物凄いペースで普及している。一昔前までは、車ならばフェラーリ、とかアストンマーチンがカッコイイブランドとして認識されていた。しかし、アメリカではそれがTeslaに変わっている。電気自動車は今最高にクールなものとして一世を風靡しているのだ。
ロケットにしろ、Teslaにしろ、Elon Muskは地球規模で物語を考える壮大な天才である。彼はいつも「地球を救うこと」に重点を置く。人口爆発で地球はもう、キャパシティ・オーバーだ。だから彼はロケットで人間を移住可能な星に移動させようとしている。そして、地球そのものを救うために排気ガスを抑える電気自動車を普及させようとしている。しかもそれぞれ着々と成功しているのだ。
目を覚ませ、日本
僕は、George FloydやElon Muskのニュースを見ると、つくづく日本は平和な国だと思う。勘違いしないでほしいのは、僕はこれを皮肉を込めて言っている、ということだ。グローバル化をうたい、もうはや10年以上は経っている。しかし、日本人の間でこれらのニュースは全くと言っていいほど浸透していない。人種差別問題は日本には遠い世界の問題かもしれない。でも日本が世界で戦うためにはこのような文化的側面のことにも精通していなければならない。ロケットやテスラだって、世界では大ニュースだ。そもそも一市民が世界を変えようとしていて、その一市民は日本ではなくアメリカにいる。じゃあ日本でそのような人を輩出するには?そのように考える日本人は果たして何人いるのだろうか?
つまり僕が言いたいのはこうである。
日本よ。目を覚ませ。
世界は目まぐるしく変化、進化していく中で、常に取り残されているのが日本だ。僕は日本で育った日本人として、日本という国が再びクールジャパンになることを切に願っている。